ごあいさつ


 2025年4月1日付にて三重大学胸部心臓血管外科教室から呼吸器外科が分離独立し、初代教授を拝命しました川口晃司と申します。これからの三重大学並びに三重県における肺がんをはじめとした呼吸器外科の診療・研究・教育に貢献すべく全力で取り組んで参ります。
 
 元々胸部心臓血管外科は非常に伝統のある教室であり、そのなかで呼吸器外科は少数派であり、一般の方や医学生からも認知度は低かったと思います。それが地道に力をつけて成長し、遂に独り立ちするまでになりました。(詳細はこちら;https://miekyoubugeka.wixsite.com/website/blank-6)
 
 呼吸器外科はGeneral Thoracic Surgeryとも英訳され、世界的にはメジャーな診療科です。また女性が比較的多いことも特徴であり、三重大学呼吸器外科も女性が働きやすい環境を整備していく所存です。これからの医局と外科医に求められるのは、手術技術を磨く(Art)だけでなく、研究学問の尊重(Philosophy)、それからチームを思いやる心(Humanity)だと思っています。Humanityの醸成をいかにしていくかという事ですが、医局というのは部活ではなく、専門家の集まりなんです。例えばお酒を飲めない人に配慮して“飲み会”ではなく“食事会”にするとか、後輩にも呼び捨てせず、“くん”とか“先生”とかを付けて敬意をもって接するなど、相手を思いやる心を促していきたいと思っています。これはノンテクニカルスキルの1つで、チーム医療にはとても重要です。また人員不足ではありますがあえて入局制限をしようと思っています。呼吸器外科はおそらく若手医師に人気が出ますが、責任もって育てるために、誰でもウェルカムではなく、働き場所がきちんと確保できる程度の人員のみ募集します。
 
 コロナ禍もほぼ終息しましたが病院経営が全国的に厳しくなっているのに加え、人口減少と高齢化、地域医療格差と医師不足、働き方改革への対応など、呼吸器外科においても例外ではありません。そうした課題にしっかりと対応しつつも、最先端のロボット手術、革新的な共同研究、DXを利用した遠隔教育など、時代をリードしていくチームを作っていきたいと考えています。温かいご指導とご鞭撻のほど、何卒よろしくお願いいたします。

2025.04.01
三重大学医学部附属病院 呼吸器外科 教授 川口 晃司

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